贈与税の暦年課税制度とはどんな制度か?

2024.04.08

贈与税の暦年課税制度の内容は以下のとおりとなります。

【適用要件】
毎年1月1日から12月31日までの間に受ける贈与

【税率】
一般贈与と特例贈与の2種類あります。税率はいずれも10%~55%ですが、税率構造が異なります。特例贈与の方が、贈与税は低くなります。

【特例贈与】
18歳以上の人が直系尊属(父母・祖父母)から受ける贈与

【一般贈与】
上記「特例贈与」以外の贈与(18歳未満の人が受ける贈与や、父母・祖父母以外から受ける贈与)

【暦年課税制度による贈与税の計算方法】
贈与財産の価額-基礎枠除110万円=課税価格
課税価格に対して、「特例贈与」または「一般期与」の速算表を使って算定します。

速算表は以下の国税庁のページを参照ください。
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/zoyo/4408.htm

※贈与税の計算は1月1日から12月31日までに贈与を受けた金額が対象になります。
※基礎控除110万円は毎年利用することが可能です。
※贈与税を納めるのは贈与を受けた人です。

【相続税との関係】
相続開始前7年以内(令和5年12月31日までの贈与については、3年以内)の贈与財産については、相続財産に加算されます。
加算対象となる金額は贈与財産の贈与時の価額です。
そのうえで、納めていた贈与税額がある場合には、相続税額から控除します。相続税額よりも贈与税額が多い場合でも、贈与税は還付されません。
なお、加算対象となる贈与は、相続又は遺贈により財産を取得する人に対する贈与だけであり、例えば相続の対象とならない孫等に対する贈与については、
期間に関わらず、加算対象になりません。

【税制改正】
令和5年12月31日までに贈与により取得する財産については「相続開始前3年以内加算」でしたが、令和5年度税制改正により、
令和6年1月1日以後に贈与により取得する財産については「相続開始前7年以内加算」へと加算期間が延長されました。
延長された期間の贈与は令和6年1月1日より前にはさかのぼらないことになっています。
改正に伴う期間が延長されるのは実際には令和9年以降に開始する相続からです。また、加算期間が7年になるのは、令和13年以降に開始する相統からです。
加算期間が延長されると、相続税の計算の際に過去にさかのぼって、贈与の記録を探す必要があり、相続の際の計算が複雑化されることが予想されます。
そのため、上記の加算期間延長の改正の際に、「贈与により取得した財産のうち相続開始前3年以内に取得した財産以外の財産にあたって100万円を控除する」こととなりました。