贈与税の相続時精算課税制度とはどんな制度か?
2024.04.09
贈与税の相続時精算課税制度の内容は以下のとおりとなります。
【適用要件】
(1)対象者
贈与者(財産をあげる人)…60歳以上の父母 又は 祖父母など
受贈者(財産をもらう人)…18歳以上で、かつ贈与者の直系卑属(子や孫など)である推定相続人
なお、年齢の判定時期は贈与をする年の1月1日です。
(2)手続
最初に相続時精算課税を選択適用する贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までの間に、税務署へ「相続時精算課税選択届出書」を
一定の書類とともに贈与税の申告書に添付して提出する必要があります。
なお、令和6年1月1日以降の贈与については贈与財産が110万円以下の場合は、贈与税の申告書自体の提出は不要です。
(3)その他
相続時精算課税制度の選択は、贈与者ごとにすることができます。
ただし、この制度を選択するとその後は、その贈与者からの贈与について、暦年課税制度を選択することができません。
【相続時精算課税制度による贈与税の計算方法】
贈与財産の価額-基礎控除額110万円(※1)-特別控除2,500万円(※2)=課税価格
課税価格に対して一律20%の税率を乗じて算定します。
(※1)基礎控除110万円は毎年利用することが可能です。なお、令和5年12月31日までの贈与については、110万円の基礎控除はありません。
(※2)特別控除額2,500万円は前年までに使用した金額がある場合には、その残額のみ利用可意です。
(※3)贈与税は、毎年1月1日から12月31日までに贈与を受けた金額が対象になります。
(※4)上記の計算は財産の贈与者ごとに行います。
(※5)贈与税を納めるのは受贈者です。
【相続税との関係】
贈与した時期にかかわらず、この制度を適用した全ての財産を贈与時の価額で相続財産に加算します。
加算対象となる金額は、原則として、贈与財産の価額から基礎控除を控除した金額です。
納めていた贈与税額がある場合には、相続税額から控除します。相続税額よりも贈与税額が多い場合には還付されます。
なお、暦年課税制度と異なり、相続又は遺贈により財産を取得していない人についても、生前に相続時精算課税制度により贈与を受けた財産を、
相続又は遺贈により財産を取得したものとみなして、相続税の対象となります。
【税制改正】
相続時精算課税制度による贈与により取得する財産については、令和5年12月31日まで基礎控除はありませんでしたが、令和5年度税制改正により、
令和6年1月1日以後の贈与から110万円の基礎控除が設けられました。
さらに、贈与財産である土地建物が災害等により一定の被害を受けた場合には、贈与財産の価額から被害を受けた金額を控除した額が加算対象となります。
また、加算対象となる金額から基礎控除の金額を控除する取扱いは、暦年課税制度にはなく、まとまった資産を効率的に次世代に移転しやすくするための制度として改正されています。