相続税

小規模宅地の特例 同居親族の意味

2021.12.09

被相続人の自宅に同居する親族が自宅の敷地を相続すると、小規模宅地の特例により330㎡まで土地の評価額が80%減額されます。
今回は「同居」の意味について考えていきます。
例えば相続人が親の介護のため、自宅と親の実家を行き来している場合はどうでしょうか?親と「同居」と言えるでしょうか?
実務上は、相続開始の直前において親の家で共に起居している場合を「同居」と考えます。より具体的には以下の4点をもとに総合判断します。

①その親族の日常の生活状況
②その家への入居目的
③その建物の構造および設備
④その親族の生活の拠点となるべき他の建物の保有の有無

何点かの事例をあげてみます。

(1)介護のために親の家に通う
 【事例】
  娘が親の介護のために、自分の家に帰らずに親と一緒に暮らして面倒を看ていました。
 娘の家は持ち家で夫と息子が住んでいます。
 【適用の可否】
  「同居」とは認められず、小規模宅地の適用は不可能と考えられます。親の家に住んでいたのは介護のための一時的なものと考えられるからです。

(2)単身赴任をしている
 【事例】
  Aさんは父、母、妻、子供と3世帯で親の家で住んでいましたが、妻と子供を残して
 単身赴任をしました。単身赴任期間中に父が亡くなりましたが、Aさんは父と「同居」していたといえるのでしょうか?
 【適用の可否】
  「同居」として小規模宅地の適用は可能と考えられます。
  妻と子供は親の家に残っており、Aさんは単身赴任という特殊理由が解消されれば、また親と同居をすることが見込まれ、生活の本拠は親の家に残ったままと考えられるからです。

(3)住民票は親の住所
 【事例】
  住民票は親の住所にありますが、実際には独身で一人暮らしをしています。
 【適用の可否】
  「同居」とは認められず、小規模宅地の適用は不可能と考えられます。
 同居の判断は実態に基づき行います。住民票という外見上だけでは認められません。